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中国の冉冉(ランラン)、11月にベルギーへ 星徽の新しい仲間に

2026年10月26日、中国の雌のパンダ・冉冉(ランラン)が、ベルギーのペリダイザ動物園へ行くことが発表されました。到着は11月の予定で、ひとりになった雄の星徽(シンフイ)の仲間として迎えられます。上野動物園にいた蘭蘭(ランラン)とは別のパンダで、2017年生まれの9歳です。

この記事では、どんな取り決めで、なぜ冉冉が行くのかをまとめました。好好(ハオハオ)と星徽が来てからの、ペリダイザのパンダの12年もたどります。

ベルギー行きは、どんな取り決めで決まった?

発表したのは、中国で野生動物の保護に取り組む団体・中国野生動物保護協会です。協会とペリダイザ動物園は、2026年9月に補足の取り決めを結びました。ジャイアントパンダの保護研究で協力するための取り決めで、園は署名の日を9月16日としています。

取り決めでは、飼育の施設で生まれ育った健康な大人の雌を1頭、中国側がベルギー側に出します。2013年に結んだ協力の約束に沿って、2014年2月に好好と星徽が来て始まった協力の取り組みを、この1頭で続ける形です。その1頭に選ばれたのが冉冉でした。

正確な到着の日は、最後の準備と手続きが終わってから知らせるそうです。

冉冉がいま暮らしているのは、四川省の臥龍神樹坪基地です(2026年10月26日 ペリダイザ動物園より)。中国でパンダの保護と研究を担う、中国大熊猫保護研究中心の施設のひとつです。

ひとり残った星徽のもとへ

ペリダイザには、2009年生まれで17歳の雄、星徽がいます。ペアだった好好は2025年12月に病気の治療のため中国へ帰り、ベルギー生まれの子ども3頭もすでに帰っています。星徽は取り決めどおり園に残り、いまはたった1頭のパンダです。

ただし、ベルギーにいる間、星徽と冉冉に繁殖の計画はありません。中国大熊猫保護研究中心が、公式のSNSでそう伝えています。理由や、冉冉がベルギーにいる期間は、発表では触れられていません。

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冉冉を迎えるため、ペリダイザで進む準備

園の獣医で、パンダの飼育員でもある劉洋(リウ・ヤン)さんは、長くペリダイザのパンダを見てきました。冉冉が来ることについては「特に胸を打たれる知らせです」と話します。

劉洋さんによると、中国の同僚とは、冉冉の習慣や好みについて、もう情報をやりとりしているそうです。近いうちに神樹坪基地へ行き、冉冉に会って行動を見ながら、信頼関係を作り始めます。迎えたあとは、冉冉が自分のペースで新しい家になじめるよう、できることを全部するつもりだといいます。

園のチームは中国側と一緒に、冉冉を運ぶ段取りと新しい住まいの準備を進めています。中国側でも、出発前の準備が進んでいます。

園の創業者で会長のエリック・ドンブさんは、「冉冉が来ることを思うと、喜びでいっぱいです」と話します。12年間、中国側が園を信頼し、知識を分けてくれたことへの感謝も述べました。そのうえで「冉冉を心待ちにしています。ペリダイザですばらしい暮らしを送れるよう、心をこめます」と続けています。

おだやかで、やわらかいタケノコが好き

中国の飼育員は、冉冉をおだやかな雌だと話しています。ひとりで過ごす時間が好きで、静かな所を好みます。特に好きなのは、やわらかいタケノコです。体重は約110kgあります。

出発を控えた10月27日、中国大熊猫保護研究中心は、冉冉の食事の様子をSNSで紹介しました。タケノコ、ニンジン、窝窝头(トウモロコシの粉などで作る蒸しパン)の順に、よくかんで味わっていたそうです。

園の説明では、冉冉という名前は、やさしさとやわらかさ、そして成長し花開くことを表しています。

冉冉は2017年5月31日、中国大熊猫保護研究中心の核桃坪野化培訓基地で生まれました。母は龍欣(ロンシン)です。中国のニュースサイトによると、2歳の時に野化培訓(野生に返すための訓練)に参加しました。2019年には、江西省の官山国家級自然保護区でパンダを野生に戻す試験研究の、候補に入っています。その後については、発表では触れられていません。

ペリダイザのパンダの12年に、何があった?

ペリダイザは、ベルギーの首都ブリュッセルから南西に約60km、ブリュジュレットにある動物園です。名前は古いペルシャ語で「楽園」を意味します。園と中国側は2013年、パンダの保護と研究、そしてパンダを知ってもらう活動のために、15年の協力の取り決めを結びました。

2014年、好好と星徽がやってきた

最初に来たのは、雌の好好と雄の星徽です。好好は2009年7月7日、星徽は2009年7月22日の生まれで、当時4歳でした。2頭は中国大熊猫保護研究中心の都江堰基地から旅立ち、2014年2月22日に成都を出て、23日にベルギーに着きました。旅には飼育係2人と獣医1人が付き添い、竹のえさ100kgも一緒に運ばれました。

園は四川の地形をまねてパンダ館を作り、竹も植えました。劉洋さんによると、園で育てている竹は10種類近くあり、2頭はこの竹が大好きでした。ただ、竹そのものは毎日食べられるわけではありません。3月の終わりから7月までは竹にタケノコを出させて、そのタケノコだけを食べさせ、竹は大事にとっておいたそうです。使うのは、いざというとき。たとえば、2頭が少し好き嫌いをしたときや、好好が出産するときです。

劉洋さんがベルギーに着いたのは、2014年10月です。パンダ館に姿を見せると、星徽も好好も劉洋さんに気づいたそうです。中でも好好の様子は特別でした。「好好は私を見て、少し驚いたようで、でも見覚えがあるという顔をしました。ちょっとつんとして、『知ってるよ』という様子なんです」。好好はそばに来てあいさつをすると、竹を1本つかんで、後ずさりしていきました。そのあいだも、目はずっと劉洋さんを見ていたそうです。

星徽は好好とちがって、おとなしい性格です。気持ちも食事も、いつも落ち着いています。劉洋さんは「星徽は、仕事のうえでとてもよく息を合わせてくれます」と話しています。

ベルギーで生まれた天宝・宝弟・宝妹

2016年6月2日、好好は最初の子、雄の天宝(ティエンバオ)を産みました。ベルギーで初めて生まれたパンダです。

好好が子を宿していた100日あまり、劉洋さんはずっと付き添いました。生まれる前の数週間は、24時間そばを離れなかったそうです。天宝が生後40日で初めて目を開けたときも、劉洋さんは見届けています。天宝という名前は「天の宝」を意味し、2016年9月、インターネットの投票も参考にして付けられました。

天宝は大きく育ちました。劉洋さんは「いまの天宝がどれだけハンサムになったか、想像もつかないでしょう」と胸を張ります。劉洋さんの話では、天宝の身長は約1.7mで、多くのパンダの約1.6mより高いそうです。自分がハンサムだと分かっていて、放っておかれるのをいやがるといいます。

2019年8月8日には、雄の宝弟(バオディ)と雌の宝妹(バオメイ)の双子が生まれました。名前は「天宝の弟と妹」という意味で、一般の投票で選ばれています。劉洋さんによると、1回目の経験があったので、好好の2回目の出産はずっと順調だったそうです。

こんな話もあります。双子の弟と妹が向かいの部屋に来たころ、劉洋さんが先に双子へリンゴを2個あげると、天宝はすねて背を向けてしまいました。木の台に上がったまま降りてこず、30分以上呼び続けて、ようやく降りてきました。

ベルギーにいたころ、宝弟は親分肌で、よく妹の食べ物を横取りしていました。宝妹は落ち着いていてかしこく、兄にいじめられると、うるんだ目で飼育員を味方につけていたそうです。2023年8月16日には4歳の誕生日を祝う会が開かれ、新しい部屋で特製のごちそうが用意されました。

劉洋さんは、ベルギー人の飼育員ロバンさんを、最初から弟子として育ててきました。ロバンさんはベルギーのフランス語圏で生まれ育ち、大学では土木工学を学んだ人で、パンダの飼育とは縁がありませんでした。劉洋さんの目には、初めのロバンさんは口数が少なく、落ち着いた人に見えました。その後、ロバンさん自身もだんだん口数が増えていきました。そんなロバンさんの影響で、天宝の「おしゃべり」も増えていったそうです。

2024年12月の取材の時点で、ロバンさんは劉洋さんのもとで10年働いていました。劉洋さんは「とてもとてもパンダが好きで、いまは私のいちばんの、いちばん信頼する弟子です」と話しています。

3頭が中国へ帰った日

2019年から2024年12月まで、ペリダイザは中国の外で5頭のパンダがそろう、数少ない場所でした。

取り決めでは、ベルギーで生まれた子は4歳で中国へ行き、繁殖と保護の取り組みに加わります。天宝は4歳になる2020年に帰るはずでしたが、新型コロナの流行で遅れました。2022年には新しい取り決めが結ばれ、天宝がベルギーにいる期間が延びています。

2024年2月20日、園は3頭を2024年に中国へ帰すと発表しました。園は「彼らが旅立つことを想像すると心が痛みますが、中国への帰還はパンダの保護の取り組みを前に進める助けになるでしょう」とつづっています。

3頭は2024年11月11日から一般公開を終え、出発前の隔離に入りました。中国の専門家が前もってベルギーへ行き、3頭の習慣を覚えながら、ベルギーの専門家と一緒に世話をしました。中国の獣医の専門家は、中国へ向かう飛行機でも3頭に付き添っています。

2024年12月10日の朝、3頭は園内の「世界のギャラリー」を通って、ペリダイザをあとにしました。翌11日の朝に成都に着き、雅安碧峰峡基地で検疫を受けました。2025年1月26日には、雅安基地で一般に公開されています。

基地の担当者は、天宝は落ち着いているものの、少しこわがりなところもあり、宝弟は活発、宝妹は聞き分けがよいと話しています。いちばん早くなじんだのは宝弟で、天宝は柵に登るのが好きだそうです。帰ってきたばかりのころは四川の言葉にはあまり反応しませんでしたが、3頭とも四川の竹をよく食べていました。

劉洋さんが帰国を延ばしてきたわけ

劉洋さんは、星徽と好好と離れがたく、そのあと天宝・宝弟・宝妹が生まれたこともあって、中国へ帰る時期を何度も延ばしてきました。その思いを、劉洋さんは「私は彼らに、気持ちのうえで頼り、離れがたい絆を感じるようになりました」と語っています。3頭が帰った2024年12月の取材では、取り決めで星徽と好好がベルギーにいる2029年まで最後の務めを果たし、2頭と一緒に中国へ帰るのが目標だと話していました。しかし好好は、予定より早く中国へ帰ることになります。

好好の病気と、予定より早い帰国

好好は2025年3月から、おなかに水がたまる中程度の腹水をくり返しました。中国から専門家が来て、園の獣医と一緒に治療にあたりました。状態は安定したものの、これからも高い水準の医療が要ると判断され、中国へ帰ることが決まりました。

園が帰国を知らせたのは、2025年10月31日です。好好はまもなく検疫に入り、気が向いたときだけ、屋内の「パンダの洞窟」から来園者に姿を見せる形になりました。好好には静かさが要るため、出発の日に公開のお別れ会は開きませんでした。

旅には、長年担当してきた飼育員と、中国から来た獣医の専門家が付き添いました。エリック・ドンブさんも出発に立ち会い、胸がいっぱいになりながらも、信頼して好好を見送ったと園は伝えています。

好好は2025年12月4日の朝、成都天府国際空港に着きました。ベルギーで11年あまり暮らしたあと、臥龍神樹坪基地で検疫と医療を受けることになりました。迎える神樹坪基地では、隔離の部屋をすみずみまで消毒し、新しい食べ物と薬をそろえ、経験のある飼育員と獣医で世話のチームを作っていました。冉冉がいま暮らしているのも、この神樹坪基地です。

年表で見るペリダイザのパンダの歩み

  • 2013年:ペリダイザと中国側が、15年の協力の取り決めを結ぶ
  • 2014年2月22日:好好と星徽が成都を出発
  • 2014年2月23日:好好と星徽がベルギーに到着
  • 2014年10月:劉洋さんがベルギーに着く
  • 2016年6月2日:天宝が生まれる(ベルギーで初めて生まれたパンダ)
  • 2016年9月:天宝の名前が決まる
  • 2019年8月8日:宝弟と宝妹が生まれる
  • 2022年:天宝がベルギーにいる期間を延ばす、新しい取り決めが結ばれる
  • 2024年2月20日:園が、3頭を2024年に中国へ帰すと発表
  • 2024年11月11日:3頭が一般公開を終え、出発前の隔離に入る
  • 2024年12月5日:中国の獣医の専門家が、3頭に付き添うためベルギーへ向かう
  • 2024年12月10日:天宝・宝弟・宝妹がベルギーを出発
  • 2024年12月11日:3頭が成都に着き、雅安碧峰峡基地で検疫に入る
  • 2025年1月26日:3頭が雅安基地で一般公開される
  • 2025年3月:好好が腹水をくり返すようになる
  • 2025年10月31日:園が、好好の帰国を発表
  • 2025年12月4日:好好が成都に着き、臥龍神樹坪基地へ
  • 2025年12月29日:綿陽中華大熊猫苑が試験開園。天宝は来園者と会う最初の組に入る(開園前の発表)
  • 2026年9月16日:冉冉を迎えるための補足の取り決めに署名(園の発表)
  • 2026年10月26日:冉冉のベルギー行きが発表される
  • 2026年10月27日:出発前の冉冉の食事の様子が紹介される
  • 2026年11月:冉冉がベルギーに着く予定

星徽と好好、3頭はいまどうしている?

星徽はいまもペリダイザで暮らしていて、11月に冉冉を迎える予定です(2026年10月26日 ペリダイザ動物園より)。

好好は中国の飼育員から、手厚い世話を受けています。好好の知らせが届くたびに、ペリダイザでは変わらぬ愛情とともに喜ばれているそうです(2026年10月26日 ペリダイザ動物園より)。

天宝は、四川省綿陽市に新しくできた綿陽中華大熊猫苑に移りました。中国大熊猫保護研究中心の綿陽基地です。2025年12月29日の試験開園で来園者と会う、最初の組に入ると伝えられていました(2025年12月22日 四川日報より)。

宝弟と宝妹は、いまは温州動物園で暮らしています。温州での愛称は、宝弟が雁雁(ヤンヤン)、宝妹が楠楠(ナンナン)です。暑かった夏は主に室内で過ごしました。飼育チームが室内の温度を調整し、氷や新しい竹の葉をあげて、涼しく過ごせるようにしたそうです。2026年10月6日には、この秋初めて外の運動場に出ました(2026年10月8日 温州網より)。

※パンダの飼育場所や公開方針は今後変更される可能性があります。最新情報は飼育施設の公式発表をご確認ください。

来園から12年のペリダイザに、冉冉がやってくる

好好と星徽が来てから12年。ペリダイザでは3頭の子が生まれ、それぞれが中国へ帰っていきました。好好も治療のために帰り、園には星徽だけが残っています。

そこへ、おだやかでタケノコが好きな冉冉が加わります。着く日は、準備と手続きが終わってから発表される予定です。

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出典

※本記事は、中国野生動物保護協会・中国大熊猫保護研究中心・ペリダイザ動物園の発表と、中国・ベルギー・日本の報道をもとに、出典を確認のうえ作成しています。

この記事の著者

パンダプラネット編集部

パンダグッズのお店「パンダプラネット」の編集部です。動物園の公式発表や日本・中国の報道を確かめて、パンダの記事をお届けしています。

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